エンプロイアビリティとは？

はじめに

就職活動の際には、自分の「能力」を企業にアピールすることが何より大切だと言われがちです。しかし近年、「エンプロイアビリティ」という言葉が注目されるようになってきました。エンプロイアビリティとは、企業から雇用される可能性や価値のことを指しており、単なる個人の能力以上の概念なのです。本記事では、エンプロイアビリティの定義から重要性、向上方法、企業の取り組み、評価と活用に至るまで、この新しい概念について詳しく解説していきます。就職を控えた学生の皆さんはもちろん、企業の人事担当者の方々にも有益な情報となるはずです。

エンプロイアビリティの概要

エンプロイアビリティの定義

エンプロイアビリティ(Employability)とは、「雇用される能力」や「雇用可能性」を意味する言葉です。具体的には、個人が企業に雇用されるための価値や、労働市場で求められる資質や能力のことを指しています。

エンプロイアビリティの構成要素

エンプロイアビリティは、専門的な知識やスキル、資格などの「専門能力」だけでなく、コミュニケーション力や課題解決力、学習意欲といった「汎用能力」や「態度」、さらにはキャリア意識など、多くの要素から構成されています。

従来の「能力」との違い

従来、企業が求める「能力」とは、専門知識やスキルなどの個人が持つ資質を指すことが多かったのに対し、エンプロイアビリティは、それらに加えて、企業が求める人物像や資質まで含む、より広義な概念です。

エンプロイアビリティの重要性

個人からみた重要性

エンプロイアビリティが高ければ、企業から高く評価され、雇用される可能性が高まります。さらに、一度雇用されたあとも、昇進や異動などのキャリア形成にも好影響があるでしょう。つまり、個人の就職や将来のキャリアにとって極めて重要な概念なのです。

企業からみた重要性

従業員のエンプロイアビリティが高ければ、企業は優秀な人材を確保・維持しやすくなり、生産性や競争力の向上も期待できます。また、従業員のモチベーションアップやロイヤリティの醸成にもつながります。

社会からみた重要性

個人や企業のみならず、社会全体にとってもエンプロイアビリティは重要な意味を持っています。労働者のエンプロイアビリティが高ければ、社会の活力が維持され、経済の持続的発展にも好影響があるからです。

エンプロイアビリティの向上方法

専門性の習得

エンプロイアビリティを高めるためには、まず自身の専門分野における知識やスキルを高める必要があります。学生時代から資格取得などに取り組むことが肝心です。

汎用的能力の育成

加えて、コミュニケーション力、課題解決力、リーダーシップなどの汎用的な能力を身につけることも不可欠です。アルバイト経験の積み重ねや、課外活動への参加なども効果的です。

キャリア意識の醸成

自身のキャリアビジョンを明確に持つことも重要です。卒業後のキャリアプランを立て、それに向けての準備を怠らないよう心がけましょう。インターンシップの活用もお勧めです。

エンプロイアビリティを高める施策

人材育成プログラムの整備

企業においても、従業員のエンプロイアビリティ向上に向けた取り組みが求められます。研修制度の充実や、eラーニングの導入など、人材育成プログラムの整備が重要となります。

社内公募・ジョブローテーション

社内公募やジョブローテーションなどの制度を活用し、従業員のスキルアップやキャリア意識の醸成を図ることも有効な方法です。新しい経験を通じて能力の幅を広げられます。

キャリアコンサルティングの充実

従業員一人ひとりのキャリア形成を支援するため、キャリアコンサルタントによる相談体制を整えることも企業の役割です。適材適所の人材配置を実現できます。

エンプロイアビリティと企業の取り組み

ワークライフバランスの実現

エンプロイアビリティを高める上で、ワークライフバランスの実現は欠かせません。長時間労働の防止や休暇取得の推奨など、従業員が学習やリフレッシュに時間を使える環境整備が重要です。

従業員エンゲージメントの向上

従業員のエンゲージメント(関与度)を高めることで、モチベーションが維持され、エンプロイアビリティの向上につながります。風通しの良い職場環境づくりや、適切な評価制度の確立が求められます。

多様な人材活用の推進

様々なバックグラウンドを持つ人材を積極的に登用し、組織に多様性をもたらすことも、エンプロイアビリティの観点から重要です。ダイバーシティの推進が、組織の活性化にもつながるのです。

エンプロイアビリティの評価と活用

エンプロイアビリティの指標化

エンプロイアビリティを定量的に評価するため、専門性やキャリア意識、汎用的能力などを指標化する試みも行われています。数値化することで、個人や組織のエンプロイアビリティを客観的に把握できます。

採用プロセスでの活用

一部の企業では、採用プロセスにおいてエンプロイアビリティを重視し始めています。応募者のエンプロイアビリティを評価基準の一つとすることで、優秀な人材の確保を目指しているのです。

人材ポートフォリオ管理への活用

企業では従業員一人ひとりのエンプロイアビリティを把握し、組織全体の人材ポートフォリオを適切に管理することも求められます。人材の最適配置や育成計画の立案に生かせます。

まとめ

エンプロイアビリティは、個人の「雇用される能力」を示す概念であり、その向上には個人と企業の双方の努力が必要不可欠です。本記事では、エンプロイアビリティの定義と構成要素、重要性、向上方法、企業の取り組み、評価と活用について詳しく解説してきました。就職活動を控えた学生の皆さんは、自身のエンプロイアビリティを高めるための具体的な方策を学べたはずです。一方、企業の方々には、従業員のエンプロイアビリティ向上に向けた施策立案の一助となれば幸いです。個人と企業がエンプロイアビリティの向上に注力することで、労働者と企業の相互発展が実現できるはずです。