採用CX（候補者体験）とは？

はじめに

優秀な人材を確保するためには、従業員にとどまらず、採用プロセスに参加する「候補者」の体験にも十分な注意を払う必要があります。この「採用プロセスにおける候補者の体験」が「採用CX(Candidate Experience)」です。近年、採用CXの重要性が注目されるようになり、企業間での優秀な人材獲得競争に大きな影響を与えるようになってきました。本記事では、採用CXの概要から従来の面接体験との違い、重視される理由、影響範囲、評価ポイント、改善策、採用マーケティングとの関係、測定と可視化、体制づくりまで、網羅的に解説していきます。優秀な人材を確保したい企業はもちろん、就職活動をする人材の側にとっても有益な情報が満載です。

採用CXの概要

採用CXの定義

採用CX(Candidate Experience)とは、企業の採用プロセス全般において、採用候補者が得る体験の総体を指します。エントリーからオファー、入社に至るまでの一連の過程で、候補者が感じる印象や満足度が問われます。

従来の「面接体験」との違い

従来の面接体験は、採用プロセスの一部分のみを評価の対象としていました。一方、採用CXでは、プロセス全体を通した包括的な体験を重視します。エントリー前の情報収集の段階から、内定後の手続きに至るまで、全ての過程を対象とするのが特徴です。

採用CXが重視される理由

採用CXが重視される背景には、優秀な人材の獲得競争が激しくなっていることが関係しています。候補者側に選ばれるためには、企業は良好な採用体験を提供する必要があるのです。またSNSの普及で、口コミ情報が広く拡散されることも理由の一つです。

採用CXの影響範囲

応募者のモチベーション

採用CXが良ければ、優秀な人材の応募意欲が高まります。その一方で、CXが悪ければ応募をあきらめてしまう可能性があります。応募者のモチベーション維持に直結します。

企業イメージと信頼性

良い採用CXは、企業のブランディングにもつながります。優秀な採用プロセスは企業の信頼性を高め、求職者に良いイメージを与えられます。反対に悪い体験は企業イメージを損ねかねません。

優秀な人材の確保

結果として、優れた採用CXを提供できる企業こそが、優秀な人材を確保できるというメリットがあります。良いCXが企業の競争力の源泉となるのです。

採用CXの評価ポイント

エントリー～応募の過程

候補者が企業の求人情報を見つけ、応募するまでの過程で、どのような体験をしたかが評価されます。求人情報の分かりやすさや、応募のしやすさが問われます。

選考プロセス全般

選考面接の対応はもちろん、選考全般の手続きの円滑さ、この間のコミュニケーションの質なども、採用CXを左右する大きな要因となります。

内定後のフォロー

内定が出た後も、入社に向けた手続きのフォロー、質問対応などが適切に行われたかどうかが問われます。入社準備の体験も採用CXの評価対象となるのです。

採用CXの改善策

デジタル化の推進

デジタル技術を活用し、応募手続きの簡素化やスムーズなコミュニケーションを実現することが求められます。画面やUIの改善、チャットボットの導入なども有効です。

コミュニケーション充実

いつでも質問できる体制を整え、きめ細かい情報提供を行うことで、候補者の不安を解消することが大切です。SNSやメールを活用したコミュニケーションの活性化が重要です。

プロセス見直しと標準化

採用プロセスを見直し、無駄な手順を省き、効率化することが求められます。加えて、応対の質を一定の水準に保つためのプロセス標準化が欠かせません。

採用CXと採用マーケティングの関係

アプトレイドの最小化

良好な採用CXを提供することで、候補者が他社に流れる「アプトレード」を防ぐことができます。採用マーケティングの質が高まり、コスト削減にもつながります。

候補者エンゲージメントの向上

随時コミュニケーションを取ることで、候補者との関係性を強固にし、企業への愛着や興味関心を高めることができます。良い採用CXがエンゲージメントの向上につながるのです。

プロモーター獲得への寄与

良い採用CXを得た候補者は、企業のプロモーターとなる可能性があります。SNSなどでの口コミ発信を通じて、新たな優秀な候補者の獲得につながる効果が期待できます。

採用CXの測定と可視化

採用CX指標の設定

採用CXの質を測定するための指標を設定する必要があります。面接の質や、応答スピードといった具体的な指標化が求められます。

アンケート調査の実施

定量的な指標に加え、アンケートや聞き取り調査による定性的なデータも収集します。直接の声を採用CXの評価に反映させることが大切です。

データ分析と施策立案

収集したデータを分析し、採用CXの現状を可視化します。その上で課題を特定し、改善のための具体的な施策を立案していくことになります。

採用CXを向上させる体制づくり

マーケティング部門との連携

採用CXの向上には、単に人事部門のみの取り組みでは限界があります。マーケティング部門との緊密な連携により、よりブランディングに配慮した取り組みが可能になります。

チームの編成

採用CX向上のための専門チームを編成し、組織横断的なプロジェクトとして取り組むことも検討すべきでしょう。専任の人員を配置することで、継続的な改善が期待できます。

社内の意識醸成

社内全体での採用CXの重要性の理解を促進することも重要です。全社的な意識改革を進め、採用CXへのコミットメントを高めることが必要不可欠です。

まとめ

優秀な人材を確保するためには、採用プロセスにおいて候補者に良い体験を提供することが何より重要です。この「採用CX」は、企業の競争力の源泉ともなる極めて重要な概念です。本記事では、採用CXの概要から影響範囲、評価ポイント、改善策、採用マーケティングとの関係、測定と可視化、体制づくりまで、詳しく解説してきました。これらの情報を参考に、自社の採用CXの改善に取り組んでいただければと思います。優秀な人材を確保するための強力な手段として、採用CXを有効活用してください。